飯豊連峰 門内小屋番日記

平成18720日〜722

門内岳避難小屋の管理人を会のNENさんが昨年同様に受けた。管理期間は713日〜820日迄であるが、NENさんも行きっぱなしという訳にはいかないので、有志でNENさんのサポートについて都合のつく期間に管理人の補員として小屋番をする事になった。これも昨年と、同様の段取りだ。
私は一回目として7月20日〜22日まで入った。

登山者数のカウンター 玉川方面の雲海 石転ビ沢 実証地の様子
良く見ると草がでている 北股への主稜 下山するNENさん 石転ビの出合い方向
本山方向 二ツ峰 kenrokuさんご夫妻 北股岳




今月は、皆さんスケジュールがタイトで交代要員が都合つかない。何とかしたいと思いやや乱暴に調整を付けて門内小屋へ向かった。猛暑で梅雨明けは早めという、当初の季節予想とは裏腹に梅雨は長引きそうだ。

7月20日(金)
コースタイム
02:30 起床
03:15 自宅発  コンビニで買い物
04:35 天狗平着 (420M)
04:45 天狗平発 (420M)
06:20 湯沢峰着 (1,020M)  体調が著しく悪い
06:30 湯沢峰発
09:07 梶川峰着 (1,693M)  随分時間がかかった。
10:15 門内小屋 (1,865M)  ヘトヘトだ・・・・・

7月22日(土)
14:00 門内小屋発(1,865M)  出発が少し遅くなった。
14:30 梶川峰  (1,693M)
14:40 三本樺  (1,540M)
14:50 五郎清水 (1,370M)
15:09 滝見場  (1,145M)
15:37 湯沢峰  (1,020M) 滝見場の下でKenrokuさんご夫妻と立ち話
16:23 天狗平  (420M)


7月20日(金)
02:30起床、軽食を詰め込んで、03:45自宅を出発する。昨晩から体調が良くない。まあ、ここ1週間ほど特に体調が優れない。コンビニに寄り行動食を購入する。
04:35天狗平に着いて準備をして出かける。夜には雨が降る予報だけど、山は早めに崩れるのでとにかく早く着いてアンテナ設置と、胎内市との業務無線のバッテリー(以下BTと表記します)をソーラーパネルで発電しWCのオガクズ加温器に通電しているものを切り替えスイッチを取付けBTチャージャーに通電し、BTの充電ができるように胎内市から頼まれた切り替えスイッチの取付け作業をNENさんが居る間に作業をしたいので急ぎたい。
しかし、荷物が案外重くなってしまい遅々として歩が進まない。体調が悪いし、最近、山登りらしい山登りはしていない。ああ、辛い。
辛いだけでなく、本当に「具合が悪い」という状態だ。湯沢峰までに何度も考える、無線で「体調不良で途中下山」と。伝えたい。
でも残念ながら、滝見場付近、最低限度湯沢峰まで登らないと門内小屋には無線は通じない。
ヘロヘロになりながら登る。牛歩と云ったら牛に「ナンダこの野郎」と云われそうだ。湯沢峰に到着してNENさんをコールするが出ない。代わりにHZUさんが受信してくれた。握り飯とゼリー、水を飲んでかなりの時間休んだ。

湯沢峰から上を目指しまた歩き続ける事になる・・・・今回ばかりは本当に行き倒れるんじゃないか?と思った。
少し先に進んで、だんだん気持ち悪くなる。我慢できずに嘔吐してしまう。今年はイチゴが沢山ある。

滝見場で、NENさんと交信。体調が悪いのでとにかくスローペースであること、次回梶川峰でコールすると伝えた。少し休んでからもう1つゼリーを飲むが、少し歩き出してまた嘔吐。・・・・・参ったなぁ・・・糖分不足で足が止まりだす。
所謂、シャリバテの状態。何か食べなきゃと思うがまた嘔吐すると食料が惜しいなどとバカなことを考える。挙句の果てに脚が攣りだす始末。一体今日は何なんだろう?

攣った脚でイタイ、イタイとノロノロと歩いて五郎清水。少し休んでから水を汲みに行く。清水から登山道までの僅かな登りも辛い。諦めてザックを枕に少し横になり途中で摘まんできたイチゴを少し食べた。
これが幸いしたか空腹感がでてきたので、アンパンを齧る。美味しい。ここへ来て何とかなりそうだと思えた。

三本樺でまたアンパンの残りを食べて登り続けた。三本樺を過ぎて雪渓に向かわず、左に折れ笹薮を切ったところに、熊と思われる糞があった。NENさんもこの付近で熊に脅かされたと聞いていたので時々口笛を吹いたりしながら通過。
ネマガリタケとかイチゴが多いので空腹の彼等も必死なのだろう。獣臭さを感じながら、夜中の1時とか2時頃に天狗平を出ないで良かったと少しビビッていた私。

梶川峰に着いて熊が危なそうな笹薮から開放されNENさんにコール。元気ないのであと1時間弱と伝える。
扇ノ地神が近づいた頃、ポツポツ雨が当たるが、合羽は要らない。
昨年、環境省とニュージェック、小国山岳会、その他有志の皆さんで施工した植生復元実証実験地では僅かだけれど草が葉を出していた。

10:15門内小屋到着。
雨がパラつくので早々にアンテナの設置を行う。手順がイマイチなので少し時間がかかったが何とか建てたので、LTKを呼ぶと5−9でOKとのこと。働き者の私達 ><! は胎内市の業務無線のBTチャージャーにソーラーパネルから受電するためのスイッチを取り付ける。これもOK。
これで、先ずは一安心だ。軽く竣工式をNENさんと行いNENさんは13:30頃下山を開始。

アンテナを無線機に着けて暫く聞いていると、郡山、山形、新潟、柏崎、上越あたりの電波がガンガン入ってくる。これはサブチャンを探すのが大変そうだ。
梅花皮小屋のOTJさん、御西のIWUさんとも管理人室から良好に交信できた。勿論、本山小屋、頼母木小屋も大丈夫だろうから登山者が何かあった時、アマ無線を利用すれば相当範囲カバーできるはずである。
人のつながりと無線のつながりは点から線へ線から面へと広がりを見せている。

16:30頃から風が出てくる。アミューズトラベルというガイドさんを含め20人のパーティーが到着。協議した結果、梅花皮小屋へ進まず門内小屋へ宿泊するとのこと。ガイドさんは鳥原小屋の管理人もする鈴木さん。
その他、2名パーティー、単独者の方々が宿泊される。

HZUさんからコールを頂く。電波状況確認の為、波出したとのこと。
夜、ガイドの鈴木さん来訪。アルパインクライミング、海外高所登攀の話等興味深くお話しをお聞きした。


7月21日(土)
昨夜、風が強かったが朝方少し収まる。気温15℃天気は雨。気温は高めだけど悪い雨。アミューズ一行は御西目指して06:00出発。相次いで出発されて、07:00には小屋は無人となる。
小屋内、WCを掃除する。WCは皆さんキレイにお使い頂き掃除する私も助かる・・・・・ありがたい。
皆さん有難うございました。

水場の点検と、冷却用の雪塊を取りに行く。ミストシャワーの様な雨。風の当たる所はグチャグチャ・・・・・
08:00頃にはまた風が強くなってきた。

12:00頃京都のガイドさんが4名の女性のお客様をお連れして到着。皆さんずぶ濡れ。雨で大変でしたね。と声を掛けたら女性の方々は花が瑞々しくてキレイでした。とのこと。エラい!

12:30分頃3名の宿泊登山者到着。その後は通過者もいない。
15:20分頃単独者到着。天候が悪く身体が冷えるためか、ビールも売れない。どちらかと言うとジャパン酒のアチャ燗が嬉しい天気だ。
夜、岩手からのCQが聞こえた。
NENさんのBT充電器がここにあるのだが・・・・・胎内市の充電器は合わないので使えないのだが・・・・・
この先大丈夫か?LTKに定時交信の際に、NENさんにLTK宅に明朝寄って乾電池の緊急用のBTパックと通常のBTパックをLTKから借受けるように伝言を頼む。・・・・・・連絡はついたのだろうか?
何だか寝付けない夜だった。


7月22日(日)
朝寒くて4時頃目が覚める。寒いのでシェラフを被りウトウトし、6時に起きてWCに行ったり身体を拭いたりしていたら、外でお世話になりました〜。と京都のガイドさんの声。下へ降りると梶川尾根に向かい出かけたところだった。

定時交信に遅れ06:07にコールするが誰もでない。07:15分地神方向へ6名通過。
WC・小屋内清掃。昨日宿泊の皆さんもWC・小屋内ともにキレイにお使い頂いた。水場の点検と、冷却用の雪塊を取りに行く。水場は、前日より水平距離で約30m程下げた。
今日は、梅雨前線がやや南下する予報どおり、ミストシャワーの様な雨は止んで作業しやすい。梅雨前線が南下した分やや気温が下がってきた。風が冷たい。
午前中秋田からのCQが聞こえた。時々無線でNENさんを呼ぶが応答がない。やっぱり・・・・というか、もしかして・・・・との思い。
ラジオで梅雨明けの見通しを話している。どうやら、遅れそうだ。
平年は今日なんだそうだ・・・・・また昨年みたいな夏なんだろうか・・・・・

北股方向に向かう男女2名のパティー、何だか見たことがあるなあ・・・・福島のKenrokuさんだ。
「もしかして、桃パパさんのHPに・・・・」と声を掛けると、
「そうです。あなたは?」「ささがわです。」てんで、暫く立ち話。少し遅れて1名の単独者。
3名の方々は少し休んで、ギルダ原方向へイイデリンドウがあれば・・・・と出かける。

Kenrokuさん達が戻ってきて単独の方は荷物を置いた頼母木へ一足先に出発。
12時を少し過ぎた頃、kenrokuさんご夫妻は下山開始。
同じ頃、胎内山にNENさんの姿を見る。

NENさん到着後にお聞きすると、LTK宅へは寄らないで来たとのこと。BTの充電は?
こっちで出来ると思っていた。との事・・・・・・あっちゃ〜・・・・やっぱり。心配的中。
胎内市の担当者と下山後相談して、充電できるように何とかしたい。とした。13:30分過ぎ頼母木小屋から、小屋に荷物を置いた単独者が戻ってこないとのこと。
12時前に頼母木に戻ると出発した旨無線で伝えた。遅い昼食を食べて14:00下山開始。少し出るのが遅くなったのでやや急ぐ。
湯沢峰の少し上でKenrokuさんご夫妻に追いつく。五郎清水でネマガリタケで味噌汁を食べたり、イチゴを食べながらノンビリ楽しみながら下山している様だった。
私は早くお風呂に入りたいので先を進ませて頂く。
下山後急いで、飯豊山荘へ。湯船から梶川尾根登山道はどこだろうか?と湯船で仁王立ちで梶川尾根を見上げる。
濃い緑の間にKenrokuさんご夫妻の姿を見ることができた。

飯豊山荘でさっぱりして、トマトジュースを一気飲みして帰途についた。





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